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しかし、怪物は1匹だけではなかった。
バサッバサッという羽音がしたから上を見上げると、同じ怪物が複数空を飛んでいた。
「人間がどうして魔界にいるのかわからないが、俺たちに見つかった以上、生きて返すわけにはいかないなあ。」
え…
うそでしょ…
「こんな旨そうな肉を食わずに逃がすわけがあるまい。」
そう言うと、怪物は鋭い牙をむき出した。
長い舌が見えた。
これがライの言っていたモンスターってやつ!?
あたし、食べられちゃうー!!!
涙目になりながら、あたしは逃げ出そうとしたけど、腰が抜けて立ち上がることができない。
次の瞬間、怪物が飛びかかってきた。
もうだめだ!
ライ、助けて!
あたしは固く目をつぶった。
そのとき。
「待て!」
綺麗な声が響いた。
ライと似てるけど、ライより少しだけ高い声だった。
「ルウ様!」
怪物が動きを止めて叫んだ。
え…?
「君たち何してるの?」
ルウ様と呼ばれたその人は、地面に座り込むあたしと怪物の間に音もなく降り立って、怪物に問いかけた。
その人はあたしに背を向けているから顔はわからないけど、その口調は優しかった。
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