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だけど、ルウはお腹を抱えて笑い出した。
「あはははは!何を言い出すかと思ったら!」
ライはそんなルウの様子を真顔で見つめていた。
「人間を妃にする?あはははは!そんなことができるはずないだろう?まったく笑わせてくれるよ、この兄上様は。」
「勝手にほざいていろ。」
「もし仮にそんなことができたとしても、お前は一族の恥さらしだ、ライ。」
「お前には関係のないことだと言っている。」
ライとルウの間に、バチバチと火花が散っているようだった。
「せいぜいその人間と恋愛ごっこでもしてるがいいさ!その方が僕も助かるからね。王位を継承するのは、この僕だ。」
そう言って、ルウはマントを広げ、体を包み込んだ。
「じゃあね、兄上様。」
ルウはニヤリと不敵な笑みを浮かべると、一瞬にしてその場から消え去った。
「ふん。つくづく腹のたつ弟だ。」
ライはため息をついた。
ピンと張りつめていた糸が切れた気がして、あたしはその場にへなへなとしゃがみこんでしまった。
「菜乃香?どうした?」
「なんか…色々あったから…」
「そうだな。」
ライは屈みこんで、あたしの頭を優しく撫でた。
魔界。
さっき、魔界は人間の世界と似ているって思ったけど。
前言撤回だ。
魔界って、やっぱり恐ろしい!!
あたしはどうやら、来てはいけないところに来てしまったみたいです。
ライの妃になるなんて、やっぱり絶対に無理だと、再認識した。
あたし、いったいこの先どうなっちゃうのー!?
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