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…………
あたしとライは森の近くにいた。
たった今、ライの双子の弟、ルウがあたしたちの前から姿を消したところだ。
あたしはまだ腰が抜けていて、地面に座り込んでいた。
「お前、あいつに何もされなかったか?」
ライは真面目な顔であたしに問いかけた。
あたしに合わせて、ライも腰を屈めていた。
「う、うん。大丈夫。危うく血吸われそうになったけど、ライが助けてに来てくれたから。」
ライは「なら良かった」と呟いた。
ルウのエメラルドグリーンの瞳を思い出す。
「ライとルウって仲悪いんだね。」
「ああ、昔からな。」
そうなんだ…
双子なんだからもっと仲良くすればいいのに。
「菜乃香、左腕を出せ。」
え?
言われるがまま、あたしは左手をライの前に出す。
ライはさっきルウから取り返したブレスレットを、あたしの左手にはめた。
「もう取られるなよ。」
あ…
「うん。」
ブラックスカルがきらりと光った。
「さて、邪魔者もいなくなったことだ。城へ向かうぞ。」
ライは立ち上がった。
城!?
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