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猛獣は遥か彼方に飛び去っていった。
あたしはただ、それを茫然と見つめていた。
「ちょうどいい。これから城へ向かうところだったのだから。なあ、菜乃香?」
ライは呑気に笑っているけど、あたしはまた腰が抜けそうになっていた。
な、な、
「なんなのよ、あの生き物はー!」
あれ、ライのペットなわけ!?
もしそうだったら、随分な趣味してるよあんた!
「ん?あいつは昔からブラスト家に仕えている霊獣だ。名前はグレン。」
霊獣…?
見かけは恐ろしかったけど、ブラスト家に仕えてるってことは、どうやら敵ではないようだ。
「そ、そうなんだ。びっくりしたー!」
胸を撫で下ろすあたしを見て、ライはくすりと笑った。
「さあ、早く行くぞ。父上がお呼びだ。」
そう言うと、ライはあたしを抱き上げた。
「わっ!ちょっと!」
お約束のお姫様だっこ。
ライは黒い羽を広げると、強く地面を蹴った。
もう…
モンスターに襲われたり、いきなりライの双子の弟が出てきたり、猛獣が飛んできたり…
それから、今度はまたお姫様だっこされたり…
次から次へと忙しすぎて、あたし、頭がパンクしちゃうよー!
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