父上様とご対面!?

9/17
前へ
/228ページ
次へ
ライは寝室の大きな扉を開けて外に出た。 あたしもライの後にくっついて部屋を出た。 すると、そこにはとてつもなく長い廊下が向こうの方まで続いていた。 な、なにこれ! 長っ! 廊下は静まり返っていて、人の気配はしない。 「菜乃香は俺の後についてこい。」 ライは静かにそう言うと、前だけを見つめて歩き出した。 その足取りはとても堂々としていた。 あたしの心臓の音は、ドキドキと速まっていく。 廊下には、コツコツというライとあたしの足音だけが響いている。 あたしは、お城の雰囲気に飲まれながらも、ライの後ろを静かに着いていった。 やがて、前方に巨大な扉が見えてきた。 なにあれ… さっきの、ライの寝室のドアも相当大きかったけど、それよりもさらに大きな扉だった。 扉には彫刻が施され、所々に宝石が散りばめられていた。 1人の力では決して開けることができない重たそうな扉。 ライはその巨大な扉の前で足を止めた。 え、うそ。 もしかして、ここが… すると、ライはあたしの方を振り向いて。 「菜乃香。お前はただ、静かに俺の後ろにいればいい。」 って、優しく微笑んだ。
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1190人が本棚に入れています
本棚に追加