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王様は黒いローブを着ていた。
黒髪を肩まで伸ばし、口髭を生やしている。どっしりと椅子に座るその大きな体は、とても貫禄があった。
よく見ると、左右の瞳の色が違う。右目は紅色、左目は緑色。
一方、女王様は華奢な体で、とても美しい容姿をしていた。
真っ白なドレスにウェーブのかかった銀色の長い髪がよく似合ってる。
「ライ、お前の後ろにいる者は人間だな?」
王様に指摘され、あたしはビクッと震えた。
冷たい視線とは裏腹に、王様の口調はとてもゆったりとしていた。
「はい。そのとおりです。」
ライもいつものように落ち着いていた。
「お前が連れてきたのか?」
「そうです。」
ライは一歩下がってあたしの隣に立った。
「俺はこの人間の女、菜乃香を妃にしたい。父上と母上に会わせるため、魔界へ連れてきました。」
ひいいい!
ライってば、さらりと言っちゃったよ!あたし、もうどうなっても知らないんだから!
「なにぃ?」
ライの言葉を聞いて、案の定、王様の眉間に皺がよる。女王様も「まあ」と目を丸くした。
「掟やぶりは承知の上です。ですが、どうしても認めていただきたい。」
ライの目は真剣だった。
少しの間、沈黙が流れた。
王様、絶対怒ってるよおおお!!
あたしは下を向いていた。
すると、王様が静かに口を開いた。
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