1190人が本棚に入れています
本棚に追加
「ライ。見損なったぞ。」
王様の椅子の周りで、小さな風が巻き起こる。
「人間を魔界に連れてきた上に、その人間を妃にすることを認めろ…だと?」
風はライとあたしの方にも吹いてきて、ライのマントとあたしの髪の毛を揺らした。
不穏な空気。
「最近、お前が人間界に頻繁に降りていたから何かと思えば…」
風が強くなる。
なんだかとっても嫌な予感…
ゴゴゴゴという音を立てて、部屋の床が揺れ始めた。
「あなた、落ち着いて。」
女王様が小さく声をかける。
だけど、無駄だった。
「こんなことが…、こんなことが許されるとでも思っているのか!!!」
王様の怒りが頂点に達した瞬間、風は渦を巻いた。
部屋のシャンデリアの明かりが一瞬にして消えた。
ものすごく強い風。
あたしは後ろに飛ばされそうになって、ライのマントにしがみついた。
いやああああ!
怖いよおおお!!!
階段の下にある大きな花瓶がパリンッと割れた。その割れた破片が渦を巻く風に吸いとられる。
天井のシャンデリアもぐわんぐわん揺れていた。
ちょっとライ!!
どうするのよー!!
ライの顔を見上げると、なんと、この状況を楽しむかのように微笑んでいた。
なっ…
あんた何笑ってるわけ!?
最初のコメントを投稿しよう!