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唸る風の中、ライは冷静な口調で応えた。
「やはり、言っても無駄だったようですね。」
ライの髪が強風によって激しくなびく。
「許さん!許さんぞ、ライ!」
王様は顔を真っ赤にして椅子から立ち上がった。
すると、部屋の揺れがさらに大きくなる。
もうだめだ…殺されちゃう!
そう思ったとき、ライはあたしに小さく囁いた。
「菜乃香、俺が3つ数えたら、俺のマントの中に飛び込め。」
え…?
ライは「わかったか?」と優しく笑った。
「ライとその娘を捕らえろ!!」
王様のかけ声と共に、あたしたちを取り囲むようにたくさんの黒い人影が現れた。
何これ!
「ワン、ツー…」
ライが数を数える。
その声は、強風の中でもあたしの耳にはっきりと届いた。
黒い人影は一気に飛びかかってきた。
「スリー…!」
ライはあたしに向かってマントを大きく広げた。
ライ!!
あたしはライの胸の中に飛び込んだ。
瞬間、視界が真っ暗になる。
「ライ、逃げる気か!」
遠くの方で王様の叫ぶ声が聞こえた。
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