1190人が本棚に入れています
本棚に追加
…………
真っ暗。
なんにも見えない。
キーンと耳鳴りがする。
ドックン…ドックン…
何の音?
脈打ってる。
あ…
わかった。
ライの心臓の音だ。
だって甘い匂いがするもの。
ふわふわ、ふわふわ。
気持ちいい。
「…乃香、…菜乃香。」
優しい声がする。
あたしの大好きな声。
「菜乃香。」
ハッ…
ライに名前を呼ばれてやっとあたしは目が覚めた。
ここは…?
辺りは暗かった。
でも、窓から青白い光が柔らかく差し込んでいる。
月の光だった。
ここ…
あたしの部屋だ。
「人間界に戻ってきたぞ。」
ライは壁に背中をつけて、床に腰を下ろしていた。
あたしはそんなライの足の上に乗っかって、ライの胸に顔を埋めながら抱きついていた。
最初のコメントを投稿しよう!