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あたしは咄嗟に顔を上げる。
目の前には、月の光に照らされたライの顔があった。
「あたし…助かったの?」
「ああ。」
よかった。
「よかったよおぉ…」
安心感からか、あたしは全身の力が抜けた。
「なに泣いてる。」
涙まで出てきた。
「だって…すっごく怖かったんだもん~」
あたしはライに抱きついた。
ライは「そうだな」と言ってあたしの頭を撫でた。
その優しい感触に、あたしの体は緊張を解き、徐々にほぐれていった。
ライ…あったかい。
「ライ。ぎゅってして…?」
わ…
あたし、何言ってるんだろう?
でも、今は、なんだかライの体温を感じていたい気分なの。
ライの腕が、あたしの腰に回った。
その両腕が優しくあたしを包んでくれた。
ライ…
あたしの顔はライの胸の中。
いい匂い。
ライの匂いは、くらくらするくらいに甘かった。
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