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学校への道のり。
ライは相変わらずの黒いマントで身を包み、あたしの横を歩く。
9月と言えどもまだまだ暑い。
てゆーかさ…
なんでライも一緒に来るわけ?
あんたは学校に用事ないでしょ?
「ライ、なんでついてくるの?」
「なんだ?べつにいいだろう。」
まったく。ライのせいで、あたしは朝から冷や汗かきっぱなしだっていうのに。
当の本人は…
「菜乃香の母上の料理、また食べたい。」
なんて言って。
もうっ、呑気なんだから。
少しはあたしの身にもなってよ。
しかも昨日なんて、魔界であんなに凄まじい出来事があったっていうのに…
こんなにのんびりとしていていいのだろうか。
不安と疑問を抱くあたし。だけど、ライはまるで何もなかったかのような余裕の表情をしている。
まったく、どういう神経してるんだ、この王子様は。
しばらく歩いて、あたしは高校に到着した。
「はい、ライはここまで。ヴァンパイアは学校に来てはいけません。文化祭のときみたいに騒ぎになったら困るから。」
あたしは門のところでライに注意する。
「わかっている。菜乃香の勉強の邪魔をするつもりはない。俺はこの近くを探索している。普段菜乃香を見ているおかげで人間に興味が湧いてきたからな。」
あら、なんか素直。
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