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「わかってるならいいよ。先に家に帰ってても大丈夫だからね。あと、くれぐれも変な行動はとらないこと。それから…、他の女の人の血を吸わないこと。」
「俺がお前以外の血を吸うわけないと以前も言ったはずだ。…それとも心配してるのか?」
ライがにやりと笑みを浮かべた。
「べ、べつに心配なんかしてないもん!あたしはただ…」
人間の世界で魔法みたいな力を使わないでほしい…って、そう言いかけたとき。
突然、ライが人差し指をあたしの口に当てた。
「待て。」
え…?
ライは動きを止め、目だけを動かして周りを見渡した。
鋭い目付き。
なに?
どうしたの?
あたしもライにつられて動きを止める。
「この気配…」
ライが低い声で囁いた。
気配?
と、ちょうどそのとき、学校のチャイムが鳴り響いた。
わああ!
やばい!遅刻しちゃう!
「ライ!じゃあまたあとでねー!」
あたしは慌てて教室に向かった。
それにしても、ライ、さっきどうしたんだろう?
ま、いっか!
このときあたしは気にも留めていなかった。
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