1191人が本棚に入れています
本棚に追加
あたしは足音を立てないよう気を付けながら、ベッドにそっと近寄った。
ライは、すやすやと気持ち良さそうに眠っていた。
思わず、ライの寝顔に釘付けになる。
いつ見ても綺麗な肌。
長い睫毛。
整った輪郭。
ずるい。
ライはすぐ、あたしをドキドキさせる。
そうやっていつもあたしを惹き付ける。
ほんとずるい。
そんなことを考えていたら…
「何見てる。菜乃香。」
ライが目を閉じたまま口だけを開いた。
ひいっ!!
「お、起きてたの!?」
あたしがベッドから離れようとした瞬間、ライはあたしの手首を掴んだ。
そのまま強い力で引っ張られて、あたしはベッドの上に押し倒された。
ちょ…
今度はあたしが仰向けになってしまった。ライはあたしの両手首を押さえつけて上から見下ろす。
「お前が側にいることくらい、匂いでわかる。」
そう言って意地悪く微笑むライは、悔しいくらいにかっこよかった。
最初のコメントを投稿しよう!