1190人が本棚に入れています
本棚に追加
/228ページ
「いやああ!」
あたしは思いっきり先輩の胸を突き飛ばした。
ガタンと机や椅子がずれる音が響く。
先輩はくぐもった声を出して床に倒れた。
あたしはすぐに体を起こして走った。
教室を飛び出して、廊下をものすごいスピードで駆け抜ける。
速く。速く。
視界がぼやけてよく見えない。
あたしは泣いていた。
涙が後から後から溢れてきてどうしようもできない。
悲しい。
悲しい。
それでもあたしは走らずにはいられなかった。
昇降口で素早くローファーに履き替えて、とにかく走った。
消えてしまいたい。
走っているうちに消えちゃえばいいのに。
ひたすらひたすら、あたしは走った。
最初のコメントを投稿しよう!