幼なじみの小悪魔ちゃん

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あたしがカツオブシを乗せると、突然、ライが「む?」と声を上げた。 「これはなんだ?人間界にもモンスターがいるのか!?」 あんた、いい加減モンスターから離れなさいよ。 そして真顔で変なこと言うのやめなさい。面白いから。 ライってさ、人間界に来ると天然キャラになるよね。 まあ、それは仕方ないか! ゆらゆら踊るカツオブシ。それを真剣に見つめるライ。 そんなライの姿を見て、あたしはふと小さい頃を思い出した。 ママがあたしを孤児院から引き取ったその日。 ママと食べた初めてのお夕飯は、お好み焼きだった。 2人だけのお好み焼きパーティー。 小さかったあたしには、黒い鉄板がすごく大きく見えた。 まんまるのお月様みたいに形の整ったお好み焼きを、ママが軽やかに引っくり返すのを見て、あたしは目を輝かせた。 でも、お好み焼きの上に乗っかったカツオブシがゆらゆら揺れるのを初めて見たとき、あたし、怖くなって泣いたことがあったっけ。 ふふっ。 オバケみたいとか思っちゃったんだよね。 「何笑ってる?」 ライが不思議そうな表情を浮かべてあたしを見る。 「そうよ、何笑ってるの菜乃香?」 ママも微笑みながら聞いてくる。 「べつに~!ちょっと思い出し笑い。」 懐かしいな。
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