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ヘラを両手に持ったライは、お好み焼きを引っくり返す準備万端のようだ。
黒いシャツ、腕まくりなんかしちゃってるし。
「いくぞ。」
ライはにやりと笑うと、ヘラをお好み焼きの下に差し込んだ。
次の瞬間、お好み焼きが宙を舞う。
わ…!
ママもあたしも、あんぐりと口を開ける。
お好み焼きはものすごい回転を効かせながら、天井すれすれまで垂直に飛び上がった。
そのまま、もとの軌跡を描きながら、綺麗に鉄板の上に着地を決めた。
う…そ…
「きゃーきゃー!ライ君すごい!」
ななななんなの!?
あんた、プロ!?
「ふっ。俺の手にかかればこんなもの簡単なことだ。」
ライは涼しい顔で着席した。
きぃー!なんか気にくわないー!
その後、ライはソースやマヨネーズ、その他トッピングを真剣な顔してやっていた。
変なところに几帳面なのね。
ライの焼いたお好み焼きも、1枚目と同様3等分にしておいしくいただいた。
すると、ママはテンションが上がっているせいか、おもむろに冷蔵庫からお酒を取り出した。
ビールが大半を占めている。
「ママ、やめときなって!」
あたしが注意したけど、ママは「あら、いいじゃない」って、にこにこ笑顔。
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