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気づけば、辺りは暗くなっていた。
もう夜か。
泣きすぎて目が熱くなってる。
最低、最悪の1日。
今朝、張り切っていた自分の姿が夢のように感じた。
ほんと、ばかみたい。
てゆーか、ここどこだろう。
あたしはふと我に返って、辺りを見渡した。
あたしは大きな橋の上にいた。下には川が流れてる。橋の両端には土手が続いてる。
なあんだ、家の近くだ。
この橋を渡って、少し歩けばあたしの家。
一安心して、あたしは橋の真ん中で川を眺めた。
夜だというのに、なぜだかほのかに明るい。
あ。
今日、満月だ。
夜空にぽっかりと浮かぶ満月。
きれい。
だけど、さっきまでの出来事が甦る。
夏目先輩の優しい表情と残酷な言葉。
このまま、川に飛び込んじゃおうかなあ。
この惨めな気持ちごと、全部洗い流してしまいたい。
川の水は黒ずんで、生き物みたいに蠢いていた。
このまま、川に…
あたしがぼーっと川を見ているときだった。
「お前、何をしている。」
きれいな低音が、頭の上で響いた。
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