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11月半ば。寒さがいよいよ本格的になる季節。
放課後の学校にて―――…
「ありがとう、助かったわ。ごめんね、少し遅くなっちゃったわね。」
「いえ、大丈夫です。」
あたしは担任の先生のお手伝いで、書類を整理をしていた。
先生にお礼を言われ、作業は終了。
校舎を出ると、すでに太陽は沈みかけ、空は薄暗くなっていた。
冷たい風が頬をかすめて、もう冬なんだなあと実感する。
さて、最近のライはというと…
一時、魔術の第2回目の試験があるからと言って魔界へ帰った。
でもそれ以来、ライは人間界と魔界を行ったり来たりしている。
相変わらず、あたしのママはライにべた惚れ中。
そんな最近のライの口癖。
「もうすぐ誓いの儀だな。」
あたしはこの言葉を聞くたび、心臓がズキッと痛む。
話によると、誓いの儀では、ブラック水晶っていう水晶玉を使って、ライとルウのどちらが次期王様にふさわしいかを決めるらしい。
ルウはライの双子の弟。
ブラック水晶の判決は絶対的で、水晶の前で交わした誓いは、何があっても取り消すことができないのだという。
つまり、ブラック水晶がライを次期王様に選び、ライがあたしのことを「妃にする」と誓ったとしたら、後からその誓いに背くことは許されない。
ブラスト家一門が集まる、とても重大な儀式。
ライにとって、とても大切な儀式。
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