気持ち

2/15
前へ
/228ページ
次へ
11月半ば。寒さがいよいよ本格的になる季節。 放課後の学校にて―――… 「ありがとう、助かったわ。ごめんね、少し遅くなっちゃったわね。」 「いえ、大丈夫です。」 あたしは担任の先生のお手伝いで、書類を整理をしていた。 先生にお礼を言われ、作業は終了。 校舎を出ると、すでに太陽は沈みかけ、空は薄暗くなっていた。 冷たい風が頬をかすめて、もう冬なんだなあと実感する。 さて、最近のライはというと… 一時、魔術の第2回目の試験があるからと言って魔界へ帰った。 でもそれ以来、ライは人間界と魔界を行ったり来たりしている。 相変わらず、あたしのママはライにべた惚れ中。 そんな最近のライの口癖。 「もうすぐ誓いの儀だな。」 あたしはこの言葉を聞くたび、心臓がズキッと痛む。 話によると、誓いの儀では、ブラック水晶っていう水晶玉を使って、ライとルウのどちらが次期王様にふさわしいかを決めるらしい。 ルウはライの双子の弟。 ブラック水晶の判決は絶対的で、水晶の前で交わした誓いは、何があっても取り消すことができないのだという。 つまり、ブラック水晶がライを次期王様に選び、ライがあたしのことを「妃にする」と誓ったとしたら、後からその誓いに背くことは許されない。 ブラスト家一門が集まる、とても重大な儀式。 ライにとって、とても大切な儀式。
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1191人が本棚に入れています
本棚に追加