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橋の手すりの上に、その人は立っていた。
すらりとした長い足。
その足を辿り、目線を上へと移すと、深紅の瞳がこちらを見据えていた。
黒いマント、黒いズボンに黒いシャツ、それに加えてサラサラの黒い髪の毛。
色白の鎖骨には、ドクロの形をしたシルバーアクセサリーが光ってる。
さらにその人の頭上には、丸くて大きな満月が浮かび、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
きれー…
男の人、だよね?
あたしは、数秒間みとれていたようだ。
「何をしているのかと聞いている。」
男の人は眉間に皺を寄せ、あたしに尋ねた。
いやいや、何って、あなたこそ何をしてるのですか?
そんな橋の手すりに立って危ないでしょうが。
落ちたらどうする気よ。
それにしても…バランス感覚いいなあ、この人。
またまたあたしが色々なことを考えていると、
「お前、この俺を無視する気か?」
怒りの声が聞こえてきた。
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