気持ち

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「君の血ってさ、本当にいい香りをさせているよね。一回飲んでみたいんだ。」 ルウの顔が近づいてくる。 いや…! ライ… 助けて! 目を閉じた瞬間、あたしの体が宙に浮いた。 !? 一瞬、何が起こったのかわからなかった。 けど。 「菜乃香に触るな。」 ライの声がした。 目を開けると、あたしはライの顔を下から見上げていた。 またお姫様だっこ!! ライはあたしを抱えて、ルウから少し離れたところに着地していた。 「やあ、兄上様。」 ルウは馬鹿にしたように鼻で笑う。 「ちょうど人間界に血を吸いに来たところだったんだよ。菜乃香ちゃんと偶然会ってね。」 「黙れ。」 ライは鋭い目付きでルウを睨んだ。 「安心したよ。まだ兄上様が菜乃香ちゃんと一緒にいるなんてね。そのまま魔界に戻ってこなければ、僕はとっても嬉しいから。」 「俺の心配より、自分の心配をしたほうがいいんじゃないのか?」 「ふん、せいぜい2人で仲良くしてるがいいさ。僕は、吸血以外の目的で人間の女なんかに構っていられるほど暇じゃないんでね。」 ルウはそう言うと、マントに身を包んだ。 そして、ウィンクを1つすると、たちまちその場から姿を消した。
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