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生きるための手段…?
そうだよね…
そう、かもしれない。
けど。
それじゃあ…
ライにとってあたしはそういう存在でしかない?
あたしの血以外には興味がない?
「菜乃香?どうした?ぼーっとして。」
「えっ?あははは、なんでもないよ!」
聞けない。
聞くのが怖い。
ライ…
あたしは、ライがヴァンパイアだからとかそういうの関係なく、ライ自身のことが好きだよ。
俺様で、意地悪で、いつもあたしを困らせるけど、ほんとは優しくて、ピンチのときには必ず助けに来てくれる、そんなライがあたしは好きだよ。
「菜乃香が菜乃香であるように、俺は俺だ」って、いつかあたしに教えてくれたよね。
ライは、あたし自身を好きになってはくれないの?
聞けなかった。
それを聞いたら、ライがあたしの側からいなくなっちゃう気がして。
「帰るぞ。」
微笑むライの顔を見て、切なさが込み上げる。
でも、その気持ちを押し殺してあたしはライの隣を歩いた。
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