気持ち

8/15
前へ
/228ページ
次へ
生きるための手段…? そうだよね… そう、かもしれない。 けど。 それじゃあ… ライにとってあたしはそういう存在でしかない? あたしの血以外には興味がない? 「菜乃香?どうした?ぼーっとして。」 「えっ?あははは、なんでもないよ!」 聞けない。 聞くのが怖い。 ライ… あたしは、ライがヴァンパイアだからとかそういうの関係なく、ライ自身のことが好きだよ。 俺様で、意地悪で、いつもあたしを困らせるけど、ほんとは優しくて、ピンチのときには必ず助けに来てくれる、そんなライがあたしは好きだよ。 「菜乃香が菜乃香であるように、俺は俺だ」って、いつかあたしに教えてくれたよね。 ライは、あたし自身を好きになってはくれないの? 聞けなかった。 それを聞いたら、ライがあたしの側からいなくなっちゃう気がして。 「帰るぞ。」 微笑むライの顔を見て、切なさが込み上げる。 でも、その気持ちを押し殺してあたしはライの隣を歩いた。
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1191人が本棚に入れています
本棚に追加