1191人が本棚に入れています
本棚に追加
頭から血の気が引いていく感覚に襲われる。
「ライはヴァンパイア。あんたは人間。あんたとライの関係は、血を吸う者と吸われる者よ。」
いやだ…
言わないで。
認めたくない。
「それ以上の関係なんてないわ。」
それはずっと恐れていたこと。
心がパキッと音をたてて崩れていく気がした。
「うふふ。悪く思わないでね。私はただ本当のことを言ってあげただけだから。」
アクアは、茫然と立ち尽くすあたしに言い放つ。
「ライに会いたいけど、今日はもう帰るわね。じゃ、そういうことでよろしく。ばいばい、菜乃香。」
アクアは不敵な笑みを浮かべると、たちまちその場から姿を消した。
…………
静まり返る部屋。
自分の心臓の音だけが、やたらとうるさかった。
―――――…
どれくらい時間がたっただろう。
あたしはベッドの上でぼーっと天井を眺めていた。
ふと、我に返る。
やば…
なにしてんの、あたし。
タオルケット持っていかなきゃ。
あたしは重たい体を起こし、リビングへ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!