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リビングへ行くと、さっきまで寝ていたはずのライが起きていた。
ライはテレビをつけて、物珍しげにじーっと観察していた。
「ライ、何してるの?」
ライはあたしに気づくと、疑問を投げかけた。
「この箱の中にいる人間、俺がいくら呼んでもまったく気づかないぞ。」
テレビの画面をコンコンと不思議そうに叩くライ。
「あたりまえでしょ。テレビだもん。」
「てれび…?」
不思議そうな顔をしてあたしの顔を見たライは、ぴたりと動きを止めた。
テレビじゃなくて、あたしの顔をじっと見つめてくる。
な、なによ。
ライはあたしの側に歩み寄った。
「何かあったのか?」
え…
「今日のお前、顔が暗い。」
ライの眉が少しだけ下がってる。
あ。心配してくれてるときの表情だ。
「な、なんでもないよ!」
あたしは否定したけど。
「俺の目はごまかせないぞ。」
って、深紅の瞳があたしを見据えた。
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