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その目を見て、あたしは思った。
ライに。
言わなきゃ。
あたしの気持ち。
伝えなきゃ。
「ライ、あのね。」
ライは真剣な顔をして、あたしの話を聞こうとしてくれていた。
「あたし…」
あたしが選んだ答えは。
「ライのお妃様にはなれないよ。」
これしかない。
「魔界へは行けない。」
これはライのためでもあるんだ。
「ママを残して行くことはできない。」
ライは何も言わず、ただ静かにあたしの話を聞いていた。
「あたしはね、ライの生きるために必要な道具じゃない。」
ライの瞳が一瞬揺れた気がした。
でも、もう止まらない。
「ライは魔界で、あたしは人間界で、それぞれの場所で生きるべきだと思うの。だから…」
だからね…
「さよならだよ、ライ。」
一番言いたくなかった言葉。
こうするしか、ないんだ。
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