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「え、いや、えっと、川を…川を眺めてました。」
「なにぃ?」
深紅の瞳が見開かれる。
ひいっ!
なんなのこの人、怖いんですけど!
男性は手すりから軽やかに飛び降り、あたしの目の前に音もなく着地した。
ふわりと、マントが小さく揺れる。
わ。
背、高い。
「目が腫れている。」
至近距離で見つめられ、あたしの体温は急上昇した。
整いすぎた顔だ。
色が白くって、赤い目がちょっと不気味だけど、めちゃめちゃかっこいい。
ドラマの撮影か何か?
でも、こんな所で撮影なんて。
「泣いていたのか?」
え…
「は、はい。」
「何故だ。」
なぜって…
「あ、あなたには関係ないでしょ。」
あ、やば。
また怒らせちゃうかな?
そう思ったとき、男の人はフッと笑みをこぼした。
「そうだな、関係ないな。」
その笑顔が優しくて。
心臓がドクンと脈打った。
なんなのこの人。
変な人。
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