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「菜乃香~、ほら見て!ケーキバイキングのチケット当たったから、今日一緒に行こうよ!」
今日は12月24日。
世間はクリスマスイブ。
今日は高校の修了式で、これから冬休みが始まろうとしていた。
修了式後、今年最後のホームルームが終わった教室で、みーちゃんがケーキバイキングのチケットを広げて見せた。
みーちゃんは、あたしとライが別れたと思っているから、気をつかってくれてるんだ。
ありがとう、みーちゃん。
ライは、あれ以来、あたしの前に姿を現すことはなかった。
あっさりと姿を消したライのことを考えると、やっぱりあたしって、その程度にしか思われてなかったんだなと、改めて実感した。
ライのいない日々。
それはまるで、色のない世界。
辛かった。
でもこれは、あたしが自分自身で決めた道。
後ろを振り返ってはいけない。
ライがいつだったか言っていたけど、誓いの儀は人間界でいうと今年の12月24日にあたるらしい。
つまり、今日がちょうど、誓いの儀が行われる日なのである。
みーちゃんは、元気のないあたしに「菜乃香甘いもの好きでしょ?ね、行こう!」と笑顔で誘ってくれた。
でも…
「ごめん、みーちゃん。あたし、今日はやめとく。ちょっとまだ食欲ないからさ…」
元気が出ない。
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