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「…そうかあ。でもさ、家に帰ってやっぱり寂しくなったらいつでも電話しなさいよ。」
みーちゃんは、あたしの頭をくしゃっと撫でた。
「うん、ありがとう。」
みーちゃん、本当にありがとう。
「さ、帰ろ!」
みーちゃんは、あたしの肩をポンポンと叩いた。
そして2人で教室を出ようとした、そのとき。
あ…
「菜乃香ちゃん。」
柔らかい声がした。
夏目先輩が教室の外に立っていた。
夏目先輩は文化祭実行委員会で一緒の先輩。
以前、先輩に片想いしていたあたしは、思い切って告白したことがあったんだけど、まあ、色々あって結局失恋した。
あんなショックな事件はあったけれど、そのあと先輩は、教室まで来てくれて、謝ってくれて…
そんな先輩が、今あたしの目の前に立っている。
みーちゃんも先輩を見て、目を丸くさせていた。
すると、先輩が遠慮がちに口を開く。
「菜乃香ちゃん、今日予定空いてる?あのさ…、もし…よければ、ご飯でも一緒に食べに行かないかな?」
え。
みーちゃんが隣で「やったじゃん!菜乃香!」って、嬉しそうに耳打ちしてきた。
「無理にってわけじゃ、ないんだけどさ…」
先輩はちょっと気まずそうに、はにかみながらあたしを誘ってくれた。
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