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正直、とても嬉しかった。
でも…今日は…
気分が乗らない。
あたしがぐずぐずしていると、
「菜乃香!さっきのケーキバイキングのチケットあげるよ!だから、先輩と2人で行ってきな!」
って、みーちゃんがあたしにチケットを渡してきた。
「み、みーちゃん!あたし…」
「いいからいいから!2人で楽しんで来なさいって!夏目先輩っ、菜乃香のことお願いしまーす!」
みーちゃんは、強引にあたしの背中を押した。
「え、このチケット本当にもらっていいの?ありがとう。じゃあさ、菜乃香ちゃん、一緒に行こうよ?」
そう言って優しく微笑む夏目先輩の顔を見たら、あたしは断ることができなかった。
――――…
気づけば、あたしは夏目先輩と2人、街を歩いていた。
街はすでにツリーやイルミネーションに彩られ、この時期独特の雰囲気を醸し出している。
すれ違うカップルは、お互いに肩を寄せ合って、にこにこと幸せそう。
そんなカップルたちを見て、あたしは胸が痛んだ。
一瞬だけ、ライの顔が浮かんだ。
でも、夏目先輩の声があたしを現実に引き戻す。
「菜乃香ちゃん。人いっぱいいるから、はぐれないでね。」
以前、片思いしていた先輩が隣にいる。
なんだか、とても不思議な感覚だった。
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