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しばらく歩くと、先輩が足を止めた。
「あ、ここだよ。ケーキのお店。」
みーちゃんがくれたチケットのお店に到着。
中に入ると、外と同じく大勢のカップルで賑わっていた。
「わ、すごい混んでるね。」
先輩は目を丸くさせた。
混んでいたけど、チケットを見せたら、すぐに席に案内された。
よし。
もう、こうなったら、夏目先輩との時間を楽しむしかない!
あたしはついに開き直った。
「先輩、いっぱい食べましょう!」
急に元気になったあたしを見て、夏目先輩はほっとしたように微笑んだ。
もう、ライのことは忘れよう。
忘れるんだ。
そう自分に言い聞かせた。
ケーキをお皿に盛り付ける。
先輩が笑顔を見せる。
甘いケーキと、優しい夏目先輩は、ぽっかりと空いていたあたしの心の穴を、少しずつ埋めてくれた。
「菜乃香ちゃん、よく食べるね。」
「はい、今日はいっぱい食べます!」
ケーキを頬張るあたしの様子を見て、先輩はびっくりしながらも嬉しそうにしていた。
なんだかんだで時間はどんどん過ぎていった。
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