正体

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それから、あたしどうしたんだっけ? なんか泣きながら、めちゃくちゃ走ったような…。 走って、走って、橋の上まで来て。 そして… それから… きれいな満月が… その時、ズキッと首筋が鈍く痛んだ。 瞬間、昨日の出来事が全てフラッシュバックする。 鋭い金色の瞳。 激しいキスが一瞬にして思い出される。 首筋を噛まれて、とっても気持ちよくって… 全身が熱くなる。 あの人、何者なの? 血をいただく、って言ってた。 ま、まさか、吸血鬼!? 妖怪!? うそだ。絶対に夢だ。 吸血鬼なんているはずがないじゃない。 夏目先輩のことがショックすぎて、気が動転してたんだ、きっと。 夢だと自分に言い聞かせながら、あたしはズキズキと疼く首筋を押さえた。 夢。あれは夢。 でも… キスの感覚と首筋の痛みが、まだ生々しく残ってる。 金色の瞳が忘れられない。 あの人、かっこよかったなあ。 あたしはベッドを降りて、全身鏡で自分の首筋を確認してみた。 小さな赤い点が2つ。 夢じゃ…ない!?
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