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き、
「きゃ…うぐっ!!」
「おっと、大声は出すな。」
咄嗟に口を押さえられた。
手、冷たい。
まるで氷のよう。
「大声出さないか?」
あたしは反射的にコクコクと首を上下に振った。
夢だ。
こんなの絶対に夢だ!
心臓がものすごい速さで動いてる。
とにかく落ち着くのよ、あたし。
落ち着くのよ!
「よし。」
一言呟いて、男の人はあたしの口から手を離した。
あたしは後ずさりする。
冷や汗がすごい。
震える声で、あたしは恐る恐る呟いた。
「こ、これは夢だよね?」
そんなあたしの強張った表情を見て、男の人はクスリと笑った。
「夢ではない。」
嘘よ…。
信じない。
「…あ、あなたは、吸血鬼なの?」
「吸血鬼と呼ぶな。ヴァンパイアと呼べ。」
ヴァ……
うそでしょー!?
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