正体

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は…い??? 今、なんと? 開いた口が塞がらないというのは、まさにこのことだと知った。 「お前は俺のものだ。」 ちょ… 「ちょっと待ってよ…。意味が…意味がわからない。」 「お前は頭が弱いのか?お前を俺の妃にすると言っている。」 頭が痛い。 「お前、名は何という?」 こんなの信じられない。 信じられないいい! あたしは頭を抱えてうずくまった。 「おい。」 男はさらにあたしに近寄り、身を屈めた。 「名を教えろ。」 セリフとは裏腹に、優しい声が上から降ってきた。 冷たい指が、あたしの顎を持ち上げる。 目が合った。 綺麗な目。 今は金色じゃなくて、赤い色をしているのね。 そんなに見つめないでよ。 顔が熱くなる。 「な、菜乃香です…。」 「菜乃香。いい名前だ。」 名前を呼ばれて、心臓が締め付けられる。 「俺のことはライと呼べ。」 ライ… 「わかったか?」 ちょっと… この人、めちゃめちゃ俺様なんですけど。
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