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ライはニヤリと不敵な笑みを浮かべると、黒いマントで自分の体を包んだ。
その瞬間、マントが床にヒラリと落ちる。
え…
き、消えた!?
ライの姿がない。
なにこれ!手品かっ!
すると、マントの下から、瞳の赤い1匹の黒猫が現れた。
「うそ、まさか…」
「そのまさかだ。」
猫が喋った。
あたしは開いた口をパクパクと動かしてしまった。
言葉が出てこない。
「俺は猫にも、コウモリにも、カラスにも、虫にだってなれる。姿を消すことも、壁をすり抜けることもできるんだ。」
すごすぎる。
「これはお前の目の前で、現実に起こっていることだ。どうだ?俺がヴァンパイアだってこと、わかったか?」
あたしは自分の頬を思いっきりつねった。
「痛い。」
どうやら本当に現実のようだ。
でもまだ信じられない。
「不服そうだな。なんなら、昨日みたく、また首筋から血を吸ってやろうか?」
猫の目がギラリと光った。
「わ、わかりました!全部信じるから!」
慌てるあたしを見て、黒猫は尻尾を一振りしたかと思うと、いつの間にかまたライの姿に戻っていた。
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