正体

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こんなことが、現実に起こっているなんて。 信じられないけど、納得せざるを得ない。 ライは、床に落ちたマントを拾い上げ、ふわりと羽織った。 「驚いているのか?」 あたりまえでしょ。 「ま、まあ、いいわ。ライがヴァンパイアだってこと、信じてあげる。で、その、ライが言ってた魔界?だっけ?その魔界とやらは、いったい何なの?」 魔界なんて、ファンタジー小説かっ。 でも、これは現実に起きていること。 とりあえず、ライのことと、自分が置かれてる状況を把握することが先決だ。 ライは少し間を置いて、自分の住む魔界について話し始めた。 「魔界は、俺達ヴァンパイアや、魔女、その他様々なモンスターが住む世界のことだ。人間界とはまったく別の次元に存在する。」 はあ… 「ヴァンパイアは、魔界の中で上位の種族。中でも強大な魔力を代々受け継ぐブラスト家は、最上位に君臨する。俺は、そのブラスト家に生まれた正当なる王位継承者。」 ちょ… 「も、もうちょっとゆっくり…」 「つまり、俺の父上は現、魔界の王なのだ。」 な、なるほど。ライのお父さんは魔界の王様。じゃあライは王子様ってこと? 「そして、ブラスト家には、1000回目の誕生日を迎えた者は、人生の伴侶を探さなければならないという掟がある。中でも、時期王となる者は、その伴侶と共に王位継承の儀式を受ける。」 人生の伴侶… 「俺は今年、ついに1000歳になった。つまり、妻を探し、王位継承の儀式を受けなければならない。」 っていうか、ライ、そんな長い間生きてるわけ!? 「しかし、1つ問題がある。」 ライは深刻な口調で続けた。
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