1190人が本棚に入れています
本棚に追加
/228ページ
こんなことが、現実に起こっているなんて。
信じられないけど、納得せざるを得ない。
ライは、床に落ちたマントを拾い上げ、ふわりと羽織った。
「驚いているのか?」
あたりまえでしょ。
「ま、まあ、いいわ。ライがヴァンパイアだってこと、信じてあげる。で、その、ライが言ってた魔界?だっけ?その魔界とやらは、いったい何なの?」
魔界なんて、ファンタジー小説かっ。
でも、これは現実に起きていること。
とりあえず、ライのことと、自分が置かれてる状況を把握することが先決だ。
ライは少し間を置いて、自分の住む魔界について話し始めた。
「魔界は、俺達ヴァンパイアや、魔女、その他様々なモンスターが住む世界のことだ。人間界とはまったく別の次元に存在する。」
はあ…
「ヴァンパイアは、魔界の中で上位の種族。中でも強大な魔力を代々受け継ぐブラスト家は、最上位に君臨する。俺は、そのブラスト家に生まれた正当なる王位継承者。」
ちょ…
「も、もうちょっとゆっくり…」
「つまり、俺の父上は現、魔界の王なのだ。」
な、なるほど。ライのお父さんは魔界の王様。じゃあライは王子様ってこと?
「そして、ブラスト家には、1000回目の誕生日を迎えた者は、人生の伴侶を探さなければならないという掟がある。中でも、時期王となる者は、その伴侶と共に王位継承の儀式を受ける。」
人生の伴侶…
「俺は今年、ついに1000歳になった。つまり、妻を探し、王位継承の儀式を受けなければならない。」
っていうか、ライ、そんな長い間生きてるわけ!?
「しかし、1つ問題がある。」
ライは深刻な口調で続けた。
最初のコメントを投稿しよう!