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「俺には、双子の弟がいるのだ。つまり、奴も今年1000歳。これは俺達が生まれたときから騒がれていたことだが、今年は歴代稀に見る、王位継承者争いが起こる。」
ライの鋭い眼差しに、背筋がゾクッと震えた。
「俺は、王になりたい。弟などには決して譲らない。」
真剣な目だった。
「俺は奴より魔力が強い。知識もある。そして、容姿の美しさに関しても勝っている。」
ちょ、最後、自分で言っちゃってるし。まあ、ライが言うと説得力はあるけど。
「勝率は十分にある。しかし…」
ライは一息ついて続けた。
「ここで、また大きな問題が起きた。」
ライはあたしの目を真っ直ぐに見据えた。
へ?
なによ…
まだ何かあるの?
「ブラスト家の掟。人生の伴侶は、同じ種族でなければならない。つまり、伴侶となる者は、同じくヴァンパイアでなければならないのだ。」
それって…
「だが、俺はもう決めてしまった。人間であるお前を妃にすると。さて、どうしたらよいものか。」
どうしたらよいものかって、そんな呑気な。
「…もし、そのブラスト家の掟を破っちゃったらどうなるの?」
あたしは恐る恐る尋ねた。
「国外追放。もしくは終身刑、運が悪ければ死刑。王族から縁を切られることになるな。」
やめてよ!
「だ、だったら、あたしなんて選ばなければいいだけのことじゃない!」
「もう決めたことだと言っている。」
神様助けてください。
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