金色は危険信号

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あたしは咄嗟に後ろを向く。 「…!」 そこには、不敵な笑みを浮かべるライの姿があった。 突然現れるのはやめてよ。 超びっくりしたよ。 「食べていいか?」 気まぐれ王子はチョコが食べたいご様子。 「いいけど…」 ライの綺麗な長い指が、チョコをつかむ。 爪、長い。 ライの爪は黒くて、鋭く尖っていた。 ライはチョコを口に含みながら、あたしの耳元で囁いた。 「血が足りなくなった。」 !! それって… あたしは反射的にライから離れた。 「そんな反応しなくてもいいだろう。」 ムスッとふて腐れた表情をするライ。 一歩一歩、ゆっくりとあたしに近づいてくる。 あたしも、その動きに合わせて、ゆっくり後退りする。 ライの深紅の瞳があたしを見つめる。 その顔はどこか冷淡で、彫刻のようだった。 あ… 壁… 逃げ場を失った。 ちょ… 怖いんですけど!!
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