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あたしは文化祭モードに入っていて、完全に忘れていた。
あいつのことを。
「菜乃香ちゃん、このジュース、3番テーブルにお願い!」
「はーい!」
結構人気なんじゃない?あたしのクラス。
用意してるテーブルがほとんど埋まってきた。廊下からも、「このクラス凝ってる!」とか「衣装がかわいい」っていう声が聞こえてきたりして、あたしのテンションもどんどん上がっていった。
楽しいー!
あたしがせわしなく接客をしていたら、何やらクラスの女の子たちが騒ぎ始めた。
「ちょ、ちょっと、あの人めちゃめちゃカッコよくない?」
「あんな人いたっけ!?どこのクラス?」
「ねー!見て見て。目の色赤いよ。カラコンかな?」
紅い目。
とっても嫌な予感。
あたしは、みんなが見つめる先に恐る恐る視線を向けた。
なんで…
なんであんたが今ここにいるのよー!!!
ライは、長い足を華麗に組んで座っていた。
黒いシャツと黒いズボン、そして鎖骨に架かるドクロのシルバーアクセサリーは存在感を示すように、ギラリと怪しく光ってた。
そのシルエットは、悔しいくらいにかっこいい。
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