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ライは何やら、ひと気のない教室に入った。
連れ込まれたのは化学実験室。
生徒たちで賑わうクラスの廊下からは離れていて、しんと静まり返っていた。
「2人きりになれたな。」
そう言って、ライはあたしを教卓の上に座らせた。
「ライ!何してくれてんの!みんな見てたじゃない!もうっ、恥ずかしかったー!」
そんなあたしの怒りは、ライの顔を見たら一瞬にして消え去った。
澄んだ深紅の瞳に見つめられれば、体が金縛りにあったみたいに動かなくなる。
なんなのこの怪しい雰囲気は。
薬品の匂いが少し鼻につくこの部屋は、ただでさえ不気味なのに、ライの存在がさらにその不気味さを際立たせる。
「ちょ、ちょっと。まさか血を吸う気じゃないでしょうね?」
あたしが恐る恐る尋ねると、ライはニヤリと笑った。
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