1190人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんという熱い言葉でしょう!!皆さん、ものすごい盛り上がりです!」
司会者さんのテンションもマックスのようだ。
そんな中あたしは、特設ステージの下に集まるお客さんたちの中で、ひときわ笑顔で手をふる人を発見した。
ママだ!!
「菜乃香ー!」
そうか、もう一般公開の時間なんだ。
ママは嬉しそうに手を大きく振って叫んでいる。
ママにも見られちゃったよー!!
どうしよう!?
「ピンクの妖精こと菜乃香さんからはコメントありますか!?」
と、司会者さん。
あたしは思いっきり首を横に振った。
「なんともかわいらしいリアクション!照れているようです!」
なぜそうなる!
「それではもう一度、彼氏さんの方に聞いてみましょう!何かコメントをよろしくお願いします!」
マイクがライに向けられた。
だけど、ライはマイクを静かに片手で払い除けて、あたしの方に体を反転させた。
…?
ライの顔を見上げたら、いつもみたいに意地悪に微笑んだ。
一瞬、時間が止まって、周りの音がすべて聞こえなくなったような気がした。
あたしの唇に、柔らかいライの唇が重なった。
会場は悲鳴にも似た歓声の渦に包まれた。
最初のコメントを投稿しよう!