真夏の夜の×××

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『はい、いっくよー!3、2、1…』 機械から流れる女の子の声と共に、シャッター音。 カシャッ 「あははははは!ライってば、顔半分切れてる!もっと屈まなきゃだめだよ!」 「はあ?面倒だな。」 「ほら、もう一回だよー!ライ、少しは笑ったらどうなの?」 「うるさい。」 ライとプリクラ撮れるなんて思いもしなかった。 ライって、ゲームセンターすっごく似合わないよね。 というか、人間の世界でライに合うものなんてない気がする。 でも、それがすごい面白い! ライがマント脱いでたら、ほんとに普通の彼氏と彼女みたいなんだけどな。 まあ、ライの容姿は普通ではないけど。 マント… って、マント取ればいいじゃん! 「ちょっとライ!そのマント脱いで!」 「は?」 「いいから。」 ライはあたしの勢いに負けたのか、マントを取った。 黒いシャツとブラックスカルのネックレスが現れる。 「もっとこっち。くっついて。」 『3、2、1…』 カシャッ! プリクラってこんなに面白かったっけ? ライが隣にいることが嬉しい。 他愛のないことを話していられることが嬉しい。 好きな人と一緒にいられるって幸せなことなんだね。 ライもそうに思ってくれたらいいな。 「菜乃香と一緒にいることが嬉しい」って、そう思ってくれたらいいな。
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