真夏の夜の×××

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「もう泣くな。」 そんなに優しくされたら、逆に泣いちゃうんですけど。 あたしが涙を堪えていると。 「お前にいいもの見せてやる。」 え? ライはあたしのショップバッグを持ったまま、いきなりあたしを抱き上げた。 ちょっと待って! またお姫様だっこですか!? 文化祭の時の記憶が甦った。 「今日は、あんまり暴れない方がいいぞ。」 ライはクスクスと笑った。 すると、なんとライの背中に大きな黒い翼が現れた。 バサッと音をたてて大きく広がる。 なっ…!? 次の瞬間。 ライは地面を力強く蹴った。 う、そ。 上昇。 見る見るうちに地面が離れてく。 うそでしょ?うそでしょ? うそでしょー!? あたしは思いっきりライにしがみついて、固く目を閉じた。 バサッバサッと羽ばたく音が聞こえる。 そーっと薄目を開けて見てみると、ライの顔は高く天を仰いでた。 まだまだ上昇していく。 もう、怖くて下を見られないよ。 あたしはもう一度ぎゅっと目を閉じた。 しばらくして、ライがあたしを呼んだ。 「おい、菜乃香。目を開けてみろ。」 ええ~…怖いよおお。 恐る恐る目を開ける。
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