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静かだ。
「ライ、会いたいよ。」
ぽつりと口をついた言葉。
だけど、いくら待ってもライは来ない。
もう、諦めて寝よう。
と、あたしがベッドに戻ろうとしたそのとき。
「呼んだか。」
あたしの大好きな、鼓膜を揺らす綺麗な低音。
「ライ!!」
「久しぶりだな、菜乃香。」
「ばかああ!今まで何してたのよ!」
「魔界で医学と魔法学と薬草学の試験があったんだ。ブラスト家では、これらの試験で一定の成績を修めなければ、王位の継承は認められない。」
そ、そんな大事な試験!?
「なんだ~…よかった。あたし、てっきり…」
そこまで言ってから、あたしはハッとして口をつぐんだ。
「なんだ?」
「や、べつに、なんでもない!」
やば!うっかり言っちゃうところだった!
ライが他の人間の女の子の血を吸いに行ってると思ってたこと。
「今、なんて言おうとした?」
それなのに、ライはしつこく聞いてくる。
「だ、だから、なんでもないって!」
「言え。」
ライがじりじりと迫ってきて、深紅の目がギラリと妖しく光った。
ひいっ!!
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