始まり

8/9
前へ
/188ページ
次へ
俺は、さっき貰ったメールで、ペンションの電話番号をもう一度確かめる。 そして、『ペンション鷹』へ電話をかけた。 ………話中だ。 混んでいるのか? 人気のあるペンションだと彼女も言っていた。もしかしたら、部屋が全て埋まっているかもしれない。 ……それはマズイ! すぐにリダイヤルし、もう一度かけ直す。 トュルルル…トュルルル よし!今度はかかった! あとは部屋が空いてるかどうかだ。 ガチャ 「ありがとうございます。こちらはペンション鷹でございます」 渋い声だ。 聞く感じだと、歳は30は越えてるような気がする。 「あの、予約を取りたいのですが、お部屋は空いてるでしょうか?」 相手の答えを待つ。 「はい、少々お待ち下さい。…え~…と…あっ、はい、一人部屋が二部屋ほど空いております」 えっ!一人部屋! 「あの、二人部屋は無いのでしょうか?」 一人部屋では、今回の計画が大きく変わってしまう! 俺は、神に祈り、返事を待った。 すると、 「すいません、先ほど埋まってしまいまして、シングルが二部屋しか空きがないんですよ…」 相手の男は申し訳なさそうに言う。 ……どうするか…予定は変わるけど、優香と一緒に行く事には変わりはしないし、他のペンションにしたら、優香はガッカリするだろう。優香の機嫌が悪くなれば、旅行自体無くなるかもしれない。 俺は、少し残念だったが、一人部屋を取る事にした。 「それじゃあ、その空いてる二部屋をお願いします」 「はい。ありがとうございます!それでは、何時になさいますか?それと、彼方のお名前と電話番号もお教え願えますか?」 俺は、大晦日から2泊3日で取り、自分の名前と電話番号を相手に教えて電話を切った。 ……クソッ そう心で思いながら、優香にメールを打つ。 5分ほどで返事が返ってきた。 『残念ね(笑)』 ……まぁ、いい。 後は、父さんに話すか。 そう考えたと同時に下から母の声が聞こえた。 「ご飯よ~」
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

288人が本棚に入れています
本棚に追加