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バスを20分ほど走らせると、ペンションらしき物が見えてきた。
周りには何も無く、
白、白、白………
辺り一面銀世界だった
唯一、車が走る道?
であろう一本道が、線のようにペンションに続いていた。
俺は運転手に聞く
「明日は晴れますか?」
運転手は、
「どうですかねぇ。山は天気が変わりやすいですからね。
一応、天気予報は晴れではありましたよ?」
……渋い声だな
運転手さんみたいな声に憧れる
しばらくすると、バスが車庫の前に止まる。
運転手が、
「着きましたよ!
滑るので、足下にはお気を付けください」
確かに、これだけの雪だ。
滑るだろう。
俺は、バスから降りて、玄関であろう場所へ滑らないように気を付けて歩いた。
ドカッ!
「あ痛ッ!!」
急に後ろから彼女の声が聞こえたので、振り向いた。
案の定転んでいた。
「ははは。大丈夫か?」
彼女に腕を差し出す。
「いた~いッ!やだわ、もう!」
俺の腕を掴み、彼女は立つ。
「注意されたんだから、気を付けて歩けよ(笑)」
そう言うと、
ふてくされ顔で、
「はぁい」
と言った。
その時の彼女の顔は、少し怒ったような、そして少し恥ずかしそうな顔をしていた。
可愛いい!
そう思った。
そして、手を繋ぎながら玄関前まで歩く。
ペンションを見上げる
………確かに良さげなペンションではあるな。
しかし、玄関の『ペンション鷹』と彫られた看板を見ると、あの事件を思い出してしまった。ブンブンブンッ
と顔を左右に振り、
関係無い…
そう心に言い、玄関を開けた……
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