旅行

7/7
前へ
/188ページ
次へ
バスを20分ほど走らせると、ペンションらしき物が見えてきた。 周りには何も無く、 白、白、白……… 辺り一面銀世界だった 唯一、車が走る道? であろう一本道が、線のようにペンションに続いていた。 俺は運転手に聞く 「明日は晴れますか?」 運転手は、 「どうですかねぇ。山は天気が変わりやすいですからね。 一応、天気予報は晴れではありましたよ?」 ……渋い声だな 運転手さんみたいな声に憧れる しばらくすると、バスが車庫の前に止まる。 運転手が、 「着きましたよ! 滑るので、足下にはお気を付けください」 確かに、これだけの雪だ。 滑るだろう。 俺は、バスから降りて、玄関であろう場所へ滑らないように気を付けて歩いた。 ドカッ! 「あ痛ッ!!」 急に後ろから彼女の声が聞こえたので、振り向いた。 案の定転んでいた。 「ははは。大丈夫か?」 彼女に腕を差し出す。 「いた~いッ!やだわ、もう!」 俺の腕を掴み、彼女は立つ。 「注意されたんだから、気を付けて歩けよ(笑)」 そう言うと、 ふてくされ顔で、 「はぁい」 と言った。 その時の彼女の顔は、少し怒ったような、そして少し恥ずかしそうな顔をしていた。 可愛いい! そう思った。 そして、手を繋ぎながら玄関前まで歩く。 ペンションを見上げる ………確かに良さげなペンションではあるな。 しかし、玄関の『ペンション鷹』と彫られた看板を見ると、あの事件を思い出してしまった。ブンブンブンッ と顔を左右に振り、 関係無い… そう心に言い、玄関を開けた……
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

288人が本棚に入れています
本棚に追加