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「……本気で行く奴がいるなんて。バカだよ」
智久は、テーブルに置かれているパンをひと口、かじった。
智久の携帯に、クラスメイトの渡辺修一(ワタナベシュウイチ)から着信が入った。智久と修一は、気の合う仲間だ。放課後はいつも一緒につるんでいた。
『さぼり魔の智久君!ニュース見てるか?面白そうだから、俺たちも岡山に言ってみないか?学校をサボる口実になるし』 「俺はパス」
『おいおい冷たいなぁ。いろんなバカをやってきた仲だろ、寂しいことを言うなよ。お祭り気分でさぁ』
「ごめん、今はそんな気にはなれないんだ」
『仕方ない。今回は許してやるよ――早く学校に顔を出せ。みんな心配してるぞ。友香もさぁ。1人で家にいると寂しいだろ?いろいろと思いつめちゃうだろ?学校に来ればみんながいるから、そんなの吹き飛ぶぜ。そのまま引きこもりになるつもりか?極悪コンビとして、また一緒にバカしようぜ』
「ありがとう。でも、もうちょっと待って欲しい」
『そっか。分かった。まぁ、早く来いや。登校した暁には、ビッグイベントを用意しておくから』 「……いろいろありがとな、修一」
『おぅ、気にすんな!俺は智久に学校に来て欲しいから言ってるだけだ。別にお前のことを心配してるわけじゃないからな。一緒に悪さをしたいから、学校に来て欲しい。まぁなんというか、俺自身のためだ』
「修一は変わらないなぁ――また連絡する」
『俺は、お前がいない退屈な学校に行ってくるよ』
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