第一章命令①

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【6月8日(火)午後1時12分】 ――そろそろ、友香や修一が乗った新幹線が出発するころだろうか? 「修学旅行気分の奴らもいるんだろうな。『やっぱデマだったよ』とか言って、お土産でも買ってきてくれよ」 智久はぼそっと呟いた。 テレビには、制服を来た高校生でごった返してる広島駅の新幹線ホームの様子が生中継で放送されていた。中継カメラに向かってピースする高校生や、テレビに映ろうと飛び跳ねて万歳する高校生もいる。 新幹線が間もなく到着することを知らせる警告音が、ホームに鳴り響く。 そのとき、突然悲鳴が上がった。高校生で埋め尽くされているプラットホームに、ぽっかりと空間ができた。そこには、2人の学生しかいない。 「俺の肩に触れただろ!邪魔すんな!」 「いってぇなぁ……お前が悪いんだろ、頭悪い高校の奴らは、俺たちのあとにしろ!」 「はぁ!?生意気なんだよ!」
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