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「きゃぁあああああ!」
「中継、放送をやめろ!!放送できない!」
新幹線がもう一度、警笛を鳴らした。戦袗が走る。騒然とするホーム。落ちた高校生たちのところまで、残り10メートル。
通路に移動させようと、男子は意識のない女子を抱えて、立ち上がろうとした。しかし、飛び降りた際に足を挫いたのか、踏ん張りが利かずによろめく。
前方には、放心状態で地面に片膝をついている小柄な女子。
もう助からないと悟ったのだろうか。悲鳴を上げることもなく、ボーッと遠くを見つめている。
「……私は死ぬの?」
次の瞬間――。
ぐちゃ。
新幹線の車輪が、彼女を巻き込んだ。車輪の下敷きになって、骨を砕かれ肉を引き裂かれる。鮮血が四方八方に飛び散り、体は真っ二つになった。
新幹線の車体がほんの少しだけ浮いた。それでも、勢いは止まらなかった。
男子は近づいてくる新幹線を睨んで、奥歯を噛んだ。気を失っている女子を見捨てれば、まだぎりぎりで逃げられそうだった。
「あぁああああーッ!見捨てることなんて――」
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