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――こんな時間に誰だ?
インターホンの液晶画面に視線を移すと――そこには、修一と友香の顔が映し出されていた。
歯をいーっと見せ、無邪気に笑っている修一と、コンビニで買ったお弁当をカメラの前でブラブラさせついる友香。
『早く開けろよ、俺様がきてやったんだぞ!』
続いて友香が、『お腹空いてるでしょ?』と言う。智久は通話ボタンを押した。
「お前ら、広島駅に向かったんじゃないのか?俺はてっきり、新幹線に乗ってると……」
『一緒に行きたいから、迎えに来たのだ。まだ時間に余裕があるしな――お前って、ほんといい友達と彼女を持ったな』
『私も迎えに来たよぉ』
『早くドア開けろ、弁当が冷める』
智久は、はぁと深いため息を漏らして、エントランスのドアの解錠ボタンを押した。
3分後。修一と友香がずかずかと玄関に上がり込んできた。2人とも、智久を押しのけ、靴を脱ぎ散らす。
「……お前ら」バラバラになってひっくり返っている靴を綺麗に並べながら、智久は言った。
「もう少し、行儀よくできないのか?いつもはしてるだろ――それと修一、自分でいい友達を持ったなぁとか、普通は言うか?自分のことだろ」
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