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「うぉおおお!――と焦るとでも思ったか。ふふふ、残念だったな。慌てて入ったせいで、俺は電気を点け忘れて困っていたのだ。明るくなった、感謝する」
「…………」
「お前は照れ屋だ。俺様が気持ちを伝えやすくしてやろう――お前が電気を点けてくれたことによって、トイレが明るくなった。お前が俺を明るくしてくれた――智久の心は明るくなったか?」
「……ああ、少し明るくなった」
「今はそれで許してやろう」
トイレの水が流れる音がして、ドアが開いた。ド派手なパンツをはいた修一が、ズボンを上げながら出てくる。
「キャッ!」目を両手で覆う友香。智久は呟いた。
「どうしてズボンを下ろしてるんだ……俺、修一の行動が時々、理解できない」
「大丈夫だ、俺自身も説明できない。理解できない」
大きな口を開けて、3人は笑った。智久の心に、春のような暖かさが芽生えた。
それから3人は、テーブルを囲んで冷蔵庫にある残り物とコンビニ弁当を食べた。智久が学校に来ていない間に、学校であったことなんかを話しながら。
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