第一章命令①

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結局JR西日本は、山陽新幹線の運行を当面、見合わせることを決定した。 一方、【王様ゲーム】を恐れている人たちと、たちの悪い悪戯だと一蹴している人たちとの間で、次第にあらそいが起こるようになった。 ――一刻も早く行かなければ! ――こんなことを信じるなんて、馬鹿げてる!そのせいで国道を封鎖されて、自分たちは多大なる迷惑を受けてる。 ――邪魔をするな! ――邪魔をしているのはお前たちだ! 双方ともに自分の意見を主張して、譲ることはなかった。争いは徐々にヒートアップする。 広島駅前にある噴水広場では、集団同士の殴り合いの喧嘩が起こった。まるで暴動だ。広島県警は、広島駅に警官を向かわせた。 もちろん、争いを回避しようとする人たちもいたそんな人たちは、広島駅からJR山陽本線や互線、芸備線に乗り、電車を乗り継いで岡山県に向かおうとした。しかし、極度の混乱のなか、在来線も運行停止を余儀なくされていた。 広島駅前の郵便局の脇に到着した2台の自転車は、急ブレーキをかけて停まった。これまでの成り行きを知らない3人は、駅前の混乱した様子を前に、呆気にとられた。
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